間違って違う薬を飲んでしまった時のこと

10年ほど前のことです。
ある日、めまいが止まらなくなり、動悸や冷や汗が激しくなったのです。

 

加えてまっすぐ歩けないような感覚に陥り、一日中身体がフラフラしているような状態でした。
明らかに体調がおかしくなったと如実に感じた私は、医療機関を訪ねて診察してもらいました。

 

 

結果は高コレステロールによる高脂血症と、肥満が原因である高血圧と診断されました。
めまいやふらつき等は、血液のドロドロと血圧の異常な高さによるものであると告げられたのです。

 

コレステロールを下げるお薬と、降圧剤を処方してもらい、
血圧のお薬は朝食後、コレステロールのお薬は夕食後に飲むよう指導されました。

 

また、突然の体調不良に動揺していた私は
同時に処方された安定剤もきちんと飲むよう言われました。
この薬さえきちんと飲めば体調は良くなる!と、どこか藁にもすがる思いだった私は、
毎日決められた通り朝と夜のお薬を飲み続けました。

 

そしてある日の朝、ちょっとしたパニックが発生したのです。
飲むべきお薬を間違えてしまったしまったのです。

 

朝食後、降圧剤を飲まなければならないのに、その日はうっかりしていたのか、
夜飲むべきはずのコレステロールの薬を飲んでしまいました。

 

今になって考えてみれば、別段その飲み間違いが即座に
生命の危機につながるようなものではないということが理解できます。

 

しかし、その時の私は完全にパニック状態に陥ってしまっていました。
とにかく間違えて飲んだ薬を吐かなければと考え、
指をノドの奥につっこんで食べたものと一緒に吐瀉しました。

 

それでも全部吐ききったのかどうか不安でたまりません。

 

 

私は電話をとり、主治医の先生に連絡をとりました。

 

間違って夜に飲む薬を今飲んでしまったこと、

 

どうすればいいのか教えてほしいということなどを伝えました。

 

 

電話口の先生は、そんな私の動揺を察知したのでしょう。きわめて冷静な口調でやさしげに

 

「大丈夫ですよ」

 

と私をなだめてくれました。

 

改めて、いつも朝飲んでいる降圧剤を飲むこと、
夜になったら(薬を吐きだしてしまいましたから)もう一度コレステロールの薬を飲むこと

 

などをゆっくりと指導してくれました。
また、安定剤を飲むようにも勧められました。

 

実はこの時点で私の中には安定剤への抵抗感があり、
処方されてからも飲むことをこっそり忌避していたのです。

 

その件についても先生はこう諭してくれました。

 

安定剤は不安定な身体の調子を安定させるもの、だからこそちゃんと飲んでほしい――

 

もちろん精神的な作用のあるお薬ですから、精神を安定させるという言い方が正しいのでしょうが、
先生はそこをあえて「身体」という言葉に置きかえて、私の抵抗感を払拭してくれたのです。

 

以来、安定剤も共に飲むようになり、少しずつ私の身体は復調していきました。
現在では、血中コレステロールも血圧も、うまくコントロールすることができています。